退職と引き継ぎの超基本:最後の最後で失敗しないために、転職成功者は「退職前の1ヶ月」をこう準備する

TS08:退職&引き継ぎ

「そろそろ次のステージに進みたい」

そんな気持ちを胸に、外資系企業への転職を考え始めた30〜40代のあなたへ。

新しい環境へのチャレンジは、間違いなくあなたのキャリアを飛躍させるチャンスです。

でも、その「スタート」を華々しく切るためには、現職での退職と引き継ぎをどう進めるかが決定的に重要ということを、意外と見落としがちです。

今回は、筆者自身の経験も踏まえながら、トラブルなく、そしてしっかり評価される形で現職を卒業するための「超基本」を解説していきます。

退職タイミングの鉄則:退職日を自分で決めるために必要なステップ

退職を伝えるベストタイミングは?成功のための3つの鉄則

まずはじめに最も大切なことを覚えておいて下さい。

退職の意思表示は「新しい会社から内定・オファーレターを受け取り、それにサインをして雇用契約が成立する」までおこなってはいけません。

これより前の時点で現職に退職を伝えてしまうと、もしオファーが取り消された場合、最悪、次の職がないまま退職せざるを得ない事態に陥るリスクがあります。

そのような事態を避けるために、書面による内定を受け取り署名が完了するまでは慎重な立ち回りが求められます。

実際に筆者が転職アドバイスをした方が、署名直前で内定を取り消されたということがありました。幸いその方は他の会社からもオファーを受け取っていたため、大事には至りませんでしたが、最後まで気を抜いてはいけないという典型的な事例です。

現職に退職意思を表示する前のチェックリスト

  1. 次の会社からオファーレターなど、書面で採用の意思表示を受け取りましたか?
  2. オファーレターには明確に「雇用条件」「入社日」など重要事項が記載されていますか?
  3. 雇用契約書に自分と採用会社両方の署名(電子署名でもOK)は完了していますか?

退職日はいつにするべき?

退職のタイミングは慎重に計画する必要があります。

特に管理職として責任あるポジションにいる場合、突然の退職は組織に大きな影響を与える可能性があります。

例えば、私はとある外資系企業で財務責任者(Head of Finance)として、企業の資金繰りや予算策定、決算業務など経営の根幹に関わるポジションにいますが、社長や役員に直接報告する機会も多いため、退職を切り出すタイミングを誤ると経営判断の遅れや監査対応の混乱を招くリスクが高まります。

原則的には退職は自分に都合の良いタイミングにするべきです。

転職時は、1ヶ月程度の有給休暇消化など、転職時にしかできないようなメリットを享受するチャンスでもあります。

自分の都合の良いタイミングに、円満に退職し、スムーズに次のキャリアステップに進むために、いつ退職の意思表示をし、また、どう退職日を迎えるかを考えてみましょう。

スムーズに退職するために:転職ベテランが退職日を選ぶポイント4選

法律的な話だけをすれば、2週間前に会社に通達することで、一方的に退職をする(会社側の同意は不要)ことが可能とされています。

このような法的要件を満たしていれば、会社がどれだけ引き止めをしても、「訴える」と脅しをしてきても、裁判になった場合、会社側が勝てる見込みはほぼないと言われています。

とは言え、できることならスムーズ・円満に退職するのがベストです。

そのために、下記4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 繁忙期を外す:多くの企業で決算期は3月や12月ですが、自社の会計年度や繁忙期を把握し、これらの期間は避けるようにしましょう。
  2. 上司が聞く耳を持つ日を狙う:直属の上司のスケジュールを把握し、落ち着いて時間を取れる時を選びましょう。一般的には、週明けの月曜朝や金曜日の夕方は避けるのが得策とされています。火曜日から木曜日の午前中などを狙い、「重要な話があるのでお時間をいただきたい」と事前に伝えておくと良いでしょう。
  3. 引き継ぎをするスケジュールを考慮する:引き継ぎ期間を十分に確保できるスケジュールを組みましょう。管理職の退職には1〜2ヶ月、場合によっては3ヶ月以上かかることもあります。面接中に、新しい就職先から入社希望日を尋ねられた際には、この引き継ぎ期間を考慮したスケジュールを伝えておくことが非常に重要です。
  4. 有給休暇を消化するためのプランを忘れない:上記3番に加え、有給休暇消化の日数も計算に含めておくとベストです。事前に自分の有給休暇残日数を確認しておくことが肝心です。筆者が2025年初にした転職では、新しい職場と旧職場とうまくスケジュールを調整した結果、転職前の1ヶ月は有休の完全消化をし、のんびり過ごすことができました。

また、最近話題になることが多い退職代行や、内容証明郵便などを利用すれば自分で直接会社に伝える必要すらない場合もあります。

しかし、30代以上の転職でキャリアアップを目指すのであれば、こういった手段はできるだけ避けましょう。

40代以降、部長職など責任のあるポジションに就く転職をする場合、過去に一緒に働いていた人が思わぬところで繋がっていることがよくあります。

そうした場合、過去の退職の仕方一つが原因で「あの人は過去の退職の仕方がひどかった。採用しない方がいい」と言われてしまう可能性があります。

そういったコメントがあれば、採用される可能性が著しく下がってしまいます。

上司に有無を言わせない退職の伝え方:「Firm, Short, Sweet」

退職の意思を伝える際には、いくつかの具体的なコミュニケーションのポイントがあります。

  1. これまでお世話になったことへの感謝を伝え、個人的な不満や会社批判ではないことを明確にする:例えば、「〇〇プロジェクトでは大変勉強させていただきました」「日頃から責任ある仕事を任せていただき、本当に感謝しています」といった言葉は、相手への敬意を示し、個人的な対立ではないという印象を与えます。上司の責任ではないことを明確にするだけで、退職日まで味方になってくれる可能性が高まります。
  2. 転職の目的は「キャリアを進めるため」というポジティブな理由を強調する:会社側から不満を問われても、「自分のキャリアの新しいステージに挑戦したい」「自分の専門性をより活かせる業界へ行きたい」といったスタンスを貫くことが、雰囲気を壊さずに済む秘訣です。
  3. 退職の意思がすでに固まっていることを明確に伝える:迷っているように見えてしまうと、上司からの引き留めや説得の可能性が高まります。例えば、「〇月から新しい職場で働くことが決まっています」「もう転職先との雇用契約書には署名が完了しています」と、柔らかくてもはっきりと意思決定を伝えることが大切です。会社が優秀な人材を手放したくないのは本音ですが、あなた自身のキャリアと人生を優先することは当然の権利であり、そこに罪悪感を感じる必要はありません。
  4. 「Firm, Short and Sweet」(明快に、短く、そして丁寧に):相手の質問に延々と答えてしまうと、退職理由の粗探しをされるかもしれませんので、感謝と揺るぎない決意を簡潔に再確認するようにしましょう。また、転職先を開示する義務はありませんので、聞かれても「まだ詳細はお話できません」とやんわりと伝えることも可能です。特に同じ業界内での転職では、無用なトラブルを避けるためにも、入社日前に転職先を明かさないのが賢明です。

引き継ぎは後任を待たない!:退職準備は転職活動と同時に開始

退職時の引き継ぎは、後任者や他のメンバーが業務を滞りなく遂行できるようにするために不可欠な行為です。

これがきちんと行われないと、後続メンバーは業務内容の把握に無駄な時間と労力を要し、場合によっては業務上のミスや納期遅延につながり、会社にとって損害となる可能性があるため、会社側は「引き継ぎが終わるまで辞めさせない」という態度になりがちです。

その結果、多くの人が「思ったよりも引き継ぎに時間がかかり、罪悪感から結局有休消化を犠牲にせざるを得なかった」という残念な退職を迎えます。

一方で、しっかりとした引き継ぎは、会社側の不安や不満を軽減するだけでなく、円満に計画通り職場を去ることを助けてくれます。

具体的な退職・引き継ぎ準備ステップ

「転職をしよう!」と思い立った日から、次のステップに従って、退職に向けた準備を始めましょう。

  1. 自分が担当している業務のリストを作成
  2. それぞれの業務について、マニュアル(手順書)を作成
  3. 最終出社日(有休消化開始の前日)までにマニュアル作成を完了し上司に提出
  4. 後任が決まった場合、すぐに引き継ぎスケジュールを決め、最終出社日までに引き継ぎを完了

このステップに従って準備を進めることで、自分の後任が決まるまで待たなくても、引き継ぎを完了することが可能になります。

タイミングによっては、後任が決まる前に退職したいというケースも多々あります。

そんな場合、会社側は「後任に引き継ぎが終わるまでは辞めさせない」という態度になることも多いのですが、整理された引き継ぎリストがあれば、「必要な資料はすべて整っています。後はこのリスト通りに業務を進めれば問題ありません」と明確に示し、有給消化をしっかり確保する道がひらけます。

さらに、万が一現職との関係が悪化し、「引き継ぎ不備による損害」として損害賠償を求められるような事態になった場合でも、きちんとした引き継ぎリストを用意していた事実は、「退職者として必要な引き継ぎは完了している」と判断される材料になる可能性があり、自分を守る「保険」の役割も果たします

後任を見つける・任命するのはあくまで会社側の責任であり、それが間に合わないからといって退職者が、退職日を変更する必要はありません。

後任が決まっていても、決まっていなくても、スムーズな退職のために行うべきことは、「残務整理を完璧にする」ではなく、まず退職日を決め、そこまでの間でベストを尽くすという姿勢を貫くことになります。

転職前の有給休暇消化は会社員人生唯一の「本当の休み」:退職後の準備

内定を獲得したら、残っている有給休暇の消化も含めた退職日までのスケジュールを確定させましょう。

現職での疲れを癒やす時間として、そしてまた、新しい生活の準備期間として、有給休暇消化を充てるのが最も賢明です。

例えば、10月1日入社の場合、現職の退職日を9月30日とし、最終出社日を9月20日に設定すれば、9月21日から9月30日を有給休暇消化期間として、その間に体をゆっくりと休めたり、新生活の準備を行うことができます。

また、社会保険などの制度上手続きが面倒になってします「無職」期間を作らずに休暇を取る手段としても非常に有効です。

新しい職場では、特に最初の3ヶ月間は周囲の人や上司は期待と不安を持ってあなたを見ています

この期間をどう過ごすかがその後の評価に大きく影響しますので、良いスタートダッシュを切るための準備を怠らないようにしましょう。

まとめ

転職活動を始めたその時から、あなたのキャリアは、次のステージへと動き始めています。

その先への一歩を「きれいに」「戦略的に」踏み出せるかどうかで、次の職場でのスタートダッシュも大きく変わります。

退職と引き継ぎは、単なる「去り際」ではなく、キャリアをさらに高みへ導くための重要な鍵となります。

退職の意思決定のタイミングを誤らず、上司への伝え方を工夫し、そして何よりも引き継ぎを徹底することで、自分の計画通り転職を行うことができるだけでなく、「立つ鳥跡を濁さず」というプロフェッショナルな印象を残すことができます。

これは、その後のキャリア形成における人脈形成や、将来の再転職の際にも確実にプラスに作用します。

多くの人が見落としがちな「退職活動」は、転職を決意した日から始まっています。

このブログでは、特に外資系への転職を成功させるためのノウハウや、入社後さらなる活躍をするための強力なツールである「ビジネス英会話」のコツを発信しています。

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