転職活動が終わりに近づいてきた時、多くの人が「退職を言い出すタイミング」に頭を悩ませます。
管理職として責任のあるポジションを任されているほど、突然の退職が組織に与える影響は大きいもの。
特に自分の今後のキャリアや業界内での評価だけでなく、社内のプロジェクトや後任への引き継ぎを円滑に進めるためにも、上司への切り出し方や時期は慎重に考えたいところです。
この記事では、「退職の意思をどのように、いつ伝えるか」というテーマを掘り下げていきます。
筆者が2025年1月に実際に行った退職意思表示を例に挙げながら、退職意思を伝えるベストなタイミングの考え方をまとめました。
ぜひ最後まで読んでいただき、スムーズかつ円満に退職を進めるための参考にしてみてください。
なお、この記事で説明している「円満退職」は、以下の3点を確実に達成する退職を意味します。
断固として辞める
罪悪感やしこりを残さない
残った有給休暇を消化する
退職をすることにはネガティブな印象が伴いがちですが、次の段階へ進むためには避けて通れない道です。
会社に与える影響を最小限に抑えながら、確実な自己実現のために、円満退職を実現するための具体的なポイントを掘り下げていきましょう。

はじめに
40代で管理職となると、転職は大きな決断です。
年齢的にも役職的にも責任は重く、会社に与える影響も大きくなりがち。
一方で、この年代はキャリアの先行きを改めて考えるターニングポイントでもあります。
「もっとチャレンジできる環境に身を置きたい」
「新しいスキルを高めたい」
「条件や働き方を変えて家族との時間を確保したい」
理由は人それぞれですが、転職を選ぶ以上、避けては通れないのが「退職の意志をいつ、どのように伝えるか」という問題です。
本記事では、Head of Financeである筆者のケースを例にとりながら、退職時期の選び方や伝え方について解説していきます。
管理職が退職のタイミングに悩む理由
組織への影響が大きい
管理職はチームマネジメントや重要プロジェクトに関わっていることが多く、突然抜けると社内外に混乱が生じがちです。
後任選定や引き継ぎに時間がかかるため、どの時期に言い出すかは慎重に考えなければなりません。
自分自身の評価にも関わる
多くの実績を残していても、退職の切り出し方が杜撰だと「無責任」と見なされる可能性があります。
今後のキャリアにおいても、最後まで誠実な印象を保てるかどうかは重要です。
特に、部長以上のハイクラス転職になると、知り合いからの紹介やコネで転職するチャンスが大幅に増えます。
従って、自分自身の評価については、現職社内だけでなく、同業界内などの社外でのものも慎重に考慮した戦略を取る必要があります。
管理職における難しさ:会社への影響度が高い
筆者はとある外資系企業でHead of finance(財務責任者)として働いており、退職を告げるべき上司は日本法人の社長になります。
Head of Finance(財務責任者)は企業の資金繰り・予算策定・決算業務など、経営の根幹に関わるポジションです。
社長や役員に対しても直接レポートする機会が多いため、退職を切り出すタイミングを誤ると、経営判断の遅れや監査対応の混乱などを招くリスクが高まります。
具体的には以下の業務が関係してきます。
四半期決算・年次決算 及び 本国へのレポーティング
予算策定プロセス
金融機関との折衝や監査法人対応
重要会計情報の開示タイミング
こうした業務が集中する繁忙期や重要イベントの真っ只中で退職を伝えると、社長や関係部門にとっては大きな痛手となる可能性があるわけです。
「退職を伝えるベストタイミング」を考える4つの観点
ここでは筆者の職の立場から4つの観点を示しますが、実際にはみなさんの職・状況に合わせて応用してください。
決算期・予算策定期を外す
多くの企業で決算期は3月や12月が多いですが、会社によって会計年度はさまざま。
どちらにせよ、決算業務や予算策定などの繁忙期にはできるだけ重ならないようにします。Head of Financeの場合は特に重要です。
社長(上司)のスケジュールを把握する
管理職が、上司である部長や社長に直接話をする際は、上司が落ち着いて時間をとれる時を選ぶのがポイント。
週明け月曜の朝や金曜日の夕方は避け、火~木の午前中などを狙いましょう。
事前に「重要な話があるのでお時間をいただきたい」と伝えておくと、上司も心構えができます。
後任選定と引き継ぎ期間を確保
管理職の退職には後任探しや引き継ぎプランの策定が必要です。
1~2か月、場合によっては3か月以上かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
ここで重要なのは、転職活動を始めた時点である程度退職の時期を考慮しておくということです。
次の就職先である企業からオファーをもらう前に、先方に入社希望日を伝えることになりますが、その時点で引き継ぎなどを考慮したスケジュールを伝えておくことが非常に重要です。
年度末・期末の2~3か月前に伝える
組織や人事異動が行われやすい年度末や期末に合わせて、2~3か月前には退職の意志を示すと、社内調整もしやすくなります。
会社によって時期は異なるので、自社の会計年度や人事異動のタイミングを事前に確認しておきましょう。
上司への伝え方:具体的なコミュニケーションのポイント
ここからは、最初に挙げた6つのアドバイスを取り込みながら、上司(社長)への伝え方を具体的に解説します。
まずは感謝を伝え、個人攻撃ではないことを明確にする
退職意思を切り出す前に、これまでお世話になったことや学んだことへの感謝を述べましょう。
「○○プロジェクトでは大変勉強させていただきました」
「日頃から責任ある仕事を任せていただき、本当に感謝しています」
といった言葉があるだけで、相手への敬意が伝わり、個人的な対立や不満ではないという印象を与えられます。
転職の目的は「キャリアを進めるため」:会社批判は避ける
「キャリアの新しいステージに挑戦したい」「自分の専門性をより活かせる業界へ行きたい」というように、あくまでポジティブな理由を強調しましょう。
もし会社側から「何が不満だったのか?」と問われても、できるだけ具体的な批判は避け、「自分のキャリアを発展させるため」というスタンスを貫くほうが、雰囲気を壊さずに済みます。
意思はすでに固まっていると伝える
退職の意志を伝える際、まだ迷っているように見えると、上司から説得や引き留めが入る可能性が高まります。
「実は○月から新しい職場で働くことが決まっています」
「もう転職先へコミットしており、気持ちは固まっています」
というように、やわらかくてもはっきりと意思決定を伝えることが大切です。
退職は「自分の将来のため」であることを繰り返す
会社としては優秀な人材を手放したくないのが本音です。
しかし、あなた自身のキャリアと人生を優先することは当然の権利。
そこに罪悪感を感じる必要はありません。
「自分の今後のキャリアを考えた結果、この判断が最善だと思いました」
と繰り返すことで、話を逸らされにくくなります。
さまざまな反応を想定しておく
上司や社長は驚きやショックから、思わず否定的な言葉を投げかけることがあります。
「裏切るのか?」
「せっかく育てたのにこんなときに辞めるなんて…」
こうした言葉が出るのは、あなたが会社にとって必要な存在である証拠とも言えます。
想定外の反応を受けても、感謝の気持ちと「もう決断している」という姿勢を繰り返し伝えれば問題ありません。
「Firm, Short and Sweet」がベスト
退職を伝える際の基本スタンスは「短く、明快に、でも丁寧に」。
相手の質問に延々と答えてしまうと、退職理由の粗探しをされるかもしれません。
感謝や基本的な説明を伝えたら、揺るぎない決心を再確認するようにしましょう。
トラブルを避けるための注意点
書面での退職届提出の時期
口頭で伝えた後、社内規定に従って「退職願」や「退職届」を提出する必要があります。
管理職の場合、一般社員よりも早めに申告する旨が就業規則に定められていることもあるので要確認です。
有給休暇の取得計画
大量の有給休暇が残っている場合は、退職間際にまとめて取得する際、業務が立ち行かなくなる恐れがあります。
引き継ぎや後任がスムーズに動けるよう、会社やチームと事前調整を行いながら計画的に取得しましょう。
筆者の場合、オファーを受けた企業との一次面接の時点で次のような会話をしていました。
企業「何か質問はありますか?」
ずーぱん:「このポジションに人を雇うタイムラインを教えてください」
企業:「できる限り早く進めたいと考えています。ずーぱんさんのタイムラインはどのような感じでしょうか?退職の意思を伝える期限は決まっていますか?」
ず:「社内規定では1ヶ月前までに伝えることになっていますが、今回は家族と過ごす時間を取りたいと考えていますので、2ヶ月を程度と思います。」
もちろんこの時点では企業側はオファーを出すかどうかは分かりませんが、筆者は「すぐには来られない」という期待値を伝えています。
また、正直に「有給休暇を消化したい」と伝えることで、実際に話が進み、入社した後に「実は有給休暇を消化していた」ということを隠す必要がありません。
この作戦が功を奏し、筆者は今回の転職で、下記のスケジュールを勝ち取りました。
1月中旬:オファー獲得・サイン
1月下旬:現職へ退職意思表示
2月末:現職の最終出社日
3月1日〜31日:有給休暇21日間の消化(土日も含めて丸々1ヶ月の休み)
4月1日:入社
転職先を明かすかどうか
転職先を開示する義務はありません。
「どこに行くの?」と詮索されても、答えたくない場合は「まだ詳細はお話できません」とやんわり逃げても問題ありません。
無用なトラブルを避けるために、情報開示のタイミングは慎重に決めましょう。
なお、筆者の場合は、現職や上司には転職先を開示しないことにしています。
一般的には同じ業界内での転職が多いため、転職先に「上司の元同僚」がいることもざらにあります。
自分の元同僚がいる会社に部下が行くことを知ったら、色々言いたくなってしまうのが人のサガと言うものです。
転職先への入社日前に色々言われてしまうと良いことはありませんので、開示しないのがベストだと考えています。
まとめ:円満退職への道
40代の管理職が転職を決断するのは、自分のキャリアや家族の状況を考えたうえでの大きな一歩。
特に会社の経営に直結する管理職ポジションの場合は、退職の切り出し時期と伝え方を間違えると社内外でトラブルが起きる可能性があります。
Head of Financeの筆者の場合は、以下の点を意識して退職の意思を伝えました。
決算期や予算策定期を避ける
社長が落ち着いて話せる日時を選ぶ(火~木の午前中など)
後任と引き継ぎの期間を考慮し、2~3か月前には意志を伝える
短く、明快に、感謝と敬意をもって「自分のキャリアのため」と意志表示する
これらのポイントを押さえ、「Firm, Short and Sweet」を意識して誠実かつ迅速に退職交渉を進めることで、会社との関係を損なうことなく次のステージに進める可能性が高まります。
おわりに
転職は人生の大きな節目ですが、特に40代での転職は周囲の反応も含めて困難が生じることが多いもの。
それでも「自分の人生をより充実させたい」「成長できる環境に身を置きたい」という強い意志があるなら、年齢や立場に関わらず行動する価値は十分あります。
大切なのは、今の会社に対して「これまでの感謝」をしっかり伝え、同時に「もう決断している」という姿勢を明確に示すこと。
そうすることで、上司や周囲の反応がどうであっても、余計な説得や引き留めに悩まされる時間を最小限に抑えることができるでしょう。
転職先で新しいキャリアを切り開くためにも、まずは円満退職を実現するための準備をしっかり行ってください。皆さんが次のステージで大きく飛躍できることを心から願っています。
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